すんごい久々の読書日記です。ぼちぼち読んではいるものの。。。という感じですね。
本年度、直木賞受賞作品です。お友達からお借りしていたので数日前から既に手元にあったのですが、直木賞の報を聞いてから読み始めました。
本書宣伝による内容紹介は主にこんな感じでした。
−赤い三角屋根の家で若く美しい奥様と過ごした女中奉公の日々。引退した老後に書き記した覚書に隠された、ひそやかな恋物語。戦後60年以上の時を超えて、語られることのなかった当時の想いが蘇えり、懐かしくもほろ苦い記憶となって現れる。
本書には、昭和初期の時代における東京山の手の中流家庭の生活風景が、とても生き生きと描かれています。本書の語り手である元女中のタキさんは、十代の頃から十数年、そのお宅に奉公していました。玩具メーカーに勤める落ち着いた旦那様と若くて美しい奥様、それに可愛い坊ちゃんがひとりという小家族ですが、自分好みのモダンな家を建て、女中が置ける余裕がある程度の、通常よりやや恵まれた生活水準の家庭だったようです。
昭和モダンな作りで和洋折衷なお宅にはステンドグラスと洋間の応接室があり、休みの日にはお祭り見物に銀ブラ、三越でのお買い物に洋食屋でのお食事、美術や映画、クラシック音楽の鑑賞、坊ちゃんにはアイスクリーム、家庭でもパンにシチューに午後の紅茶などなど、様々な当時の文化が登場します。
戦争の前にはアメリカ映画『オーケストラの少女』が日本でヒットしていたことや、その映画の素晴しい音楽のことが食卓の話題になるなど、当時の知識人階級(インテリゲンチャ)の暮らしぶりが垣間見られます。映画を観ていないタキさんは、映画に出ていた指揮者のことをストコフサレコフだったかストイコビッチだったか、と曖昧に言っていましたが、現代に生きている我々がネットで検索してみれば、当時の指揮者が『ファンタジア』のストコフスキーのことだったと判ります。便利な世の中になったものです。続きを読む

本書宣伝による内容紹介は主にこんな感じでした。
−赤い三角屋根の家で若く美しい奥様と過ごした女中奉公の日々。引退した老後に書き記した覚書に隠された、ひそやかな恋物語。戦後60年以上の時を超えて、語られることのなかった当時の想いが蘇えり、懐かしくもほろ苦い記憶となって現れる。
本書には、昭和初期の時代における東京山の手の中流家庭の生活風景が、とても生き生きと描かれています。本書の語り手である元女中のタキさんは、十代の頃から十数年、そのお宅に奉公していました。玩具メーカーに勤める落ち着いた旦那様と若くて美しい奥様、それに可愛い坊ちゃんがひとりという小家族ですが、自分好みのモダンな家を建て、女中が置ける余裕がある程度の、通常よりやや恵まれた生活水準の家庭だったようです。
昭和モダンな作りで和洋折衷なお宅にはステンドグラスと洋間の応接室があり、休みの日にはお祭り見物に銀ブラ、三越でのお買い物に洋食屋でのお食事、美術や映画、クラシック音楽の鑑賞、坊ちゃんにはアイスクリーム、家庭でもパンにシチューに午後の紅茶などなど、様々な当時の文化が登場します。
戦争の前にはアメリカ映画『オーケストラの少女』が日本でヒットしていたことや、その映画の素晴しい音楽のことが食卓の話題になるなど、当時の知識人階級(インテリゲンチャ)の暮らしぶりが垣間見られます。映画を観ていないタキさんは、映画に出ていた指揮者のことをストコフサレコフだったかストイコビッチだったか、と曖昧に言っていましたが、現代に生きている我々がネットで検索してみれば、当時の指揮者が『ファンタジア』のストコフスキーのことだったと判ります。便利な世の中になったものです。続きを読む