復刊ドットコムで、今は亡き三原順の復刊特集が組まれたのは、いつ頃からだったか既に忘れてしまったが、肝心の「はみだしっ子」関連の本はしっかり手元にある(たぶん)ので、今まであまり注目してこなかった。
この前、別件である本を探していた時に、なにげに未読の作品を見つけたので、懐かしくなって買ってみたのだが、これがかなりの当たりだった。

はみだしっ子以降については、あまり追っかけていなかったので、本が白泉社でなく主婦と生活社から出版されていたというのが少々不思議だったのだが、1991年当時花曜日BONTONという雑誌に掲載された短編をまとめた物らしい。

三原順の作品の多くは舞台も登場人物も全て米国人というのが多いが、この作品は、それを差し引いても、米国作家が書いた一般小説の短編集と言っても十分通用するのではないだろうか。普段漫画を読まないような大人の人でも、アーウィン・ショーやグレアム・グリーン、あとブラッド・ベリなどの作品が好きな人なら、この作品集が気に入るのではないだろうかと、想像する。

表題作に代表されるような、シニカルでややブラック気味な作品が続く中(そもそも三原順の作品は多かれ少なかれみなその傾向があるが(^^;;))、ラストの物語の意外な顛末は、妙に心に残った。
絵柄は円熟期のもので、非常にこなれていて綺麗である。三原ファンで未読の方には、ぜひにとお勧めする。

病死されてから、今年の3月でもう10年。。。早いものである。
余談だが、はみだしっ子のベストキャラは、勿論、グレアムである(^-^)。
それ以外にいようか!(いやいない(笑))