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瀬尾さんの本が文庫化されたので購入
生活に疲れた不器用なOLがとうとう自殺しようと思いたって山奥の民宿を訪ねるが、持参した睡眠薬では死にきれなかった。。。お話はそこから始まる
世の中には色々な人がいるものだ
私は、こういう精神構造の人の心理がまったく理解出来ないので、たまに読んでみると、かなり新鮮に感じる
疲れて硬直した心が、素朴な生活に徐々に癒されて行く過程は、なかなか良い感じだった
話としてはまあまあ面白かったと思っている
読後感は悪くなかった
とはいえ、こういう性格の人とは絶対に友人にはなれそうもない(なる気もない)が、彼女が死ななくて本当に良かった
タイトルの意味について、ちょっと考えてしまった

主人公が、30代中間管理職の女性で、部下や上司に好き勝手言われて疲れ果て、病院で長期休暇を言い渡された末に、やることもなくふと思いたった旅行先で、一瞬自殺しようかと考えた……位の設定だったら良かったのになーと思った
以降に書いてあるのは主人公に対するかなりネガティブな意見である
この作品の主人公が好きな人は、これ以降見ないことをお薦めする
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自殺の主原因は、向かない営業職についたことや人間関係によるストレスということだった
しかし、彼女には家のローンがあるワケでも、養わなきゃいけない家族がいるワケでも、老い先短いワケでもなく(彼女は未来ある23歳である、死ぬほど頭が悪いわけでも巨大デブでも超ブスでもないようだ)、一応、独立して一人暮らしをしているようだが、家族仲が悪い訳でもない
人の悩みの深さは十人十色とはいうものの、正直、何を言っているのやら、であった
まあ、ストレスから病気になったとあるので、結局、ここまでの全ての行動は病気のなせるワザなのかもしれないが・・・

生活に困窮しているワケでもないので、死ぬほど嫌なら転職すれば良いだけである
職場で好かれていないなら、なおさら辞めるのがお互いのためであろう
昔ならいざ知らず、今時、転職する人はそれこそ山ほどいる
向かない職業に就いたという理由で辞める人だって、それこそ山ほどいるだろう
なのに、仕事を辞めたら迷惑がかかると言って、それを辞めない理由にしているのが解せない(毎回ノルマが達成できないらしいが、それでも首にならない会社らしい)
仕事に責任があるというクセに、そのくせ自殺する気になった日に辞表を書いて黙って上司の席に置いている
面と向かって辞めるという勇気も、予告して辞めるという根性もないくせに、それでなんの責任感だか…
社会人としての最低限の義務を放棄しておいて、何をか言わんや、である
結局、大事なのは自分だけで、後に残された周囲の人達なんか、彼女にとってはどうでも良いのだ
赤の他人の民宿で遺書なしで自殺すれば、民宿は元より、警察が実家や会社に調べに来るのは当たり前だというのに、そういう周囲への配慮はかけらもない
「出来が悪いために仕事を辞めて迷惑をかけるみっともない」自分は嫌だが、「みんなのせいでやむを得ず死を選んだ自分」は良いらしい……「同情してよ!」という叫びが聞こえてきそうだ
単なる自分だけが可愛い甘ちゃん−お子様なのである

営業に向かないタイプの人はそれこそ大勢いる
巻きかえしが出来る大卒の若い女子なら早いうちに辞めた方が周囲のためである
出来高制の激しい職場の場合、使えないヤツにずるずるいられては上司も同僚も迷惑だろう(だって戦争なんだから)
言外に「向いていないあたしを大目に見てくれても良いんじゃないの」と言っているような気がしてムカついた
自分でどうにもならない状況に押しつぶされた末に死を選ぶ人達には(死ぬのは良くないとはいえ)同情や共感の余地があるが、こういう甘ちゃんにはまったく共感できない
精神が繊細と主張する奴ほど、他人には鈍感だったりする
最後に宿のおやじが「あんたみたいな人は、長生きするわ」と言っていたが、まったく同感である
その場の勢いで彼女が死ななくて、本当に良かった

先に書いたように、中間管理職の女性が、死ぬことを思いとどまって、少し心を癒されて街に帰って行く、というような設定だったなら、「死ななくて良かった」の意味も180度違うモノになっただろう(^_^;