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声優なんていう職業がまだ確立されておらず、字幕放送や二カ国語放送などない時代に、海外TVドラマや洋画の吹替(アテレコ)をやっていた方々に、吹替マニアのとりさんがインタビューされた物をまとめた本である。
コロンボは小池朝雄さんじゃなきゃ嫌だし、ホームズは露口茂さん、イーストウッドは山田康雄さん、サマンサは北浜晴子さんじゃなきゃ暴れてやるー、なんていう洋物(外画)ドラマのフィックス(はまり役)に拘る見方をしていた人のための大事な大事な本と言えよう。
旧時代のアテレコ苦労の数々や、大好きな翻訳家額田やえ子さんのエピソードなどもちらほら出てきて、非常に楽しい内容ばかりだった。
残念ながら本の編集時には既に鬼籍入りしていた小池朝雄さんも富山敬さんも山田康雄さんも北浜晴子さんも入っていないものの、以下敬称略して、若山弦蔵・大平透・森山周一郎・富田耕生・大塚周生・羽佐間道夫などのいまだに現役な超御大は入っているし、納谷五悟朗・広川太一郎・野沢那智・小林清志などの現在御大になりつつある方々のインタビューもバッチリ入っている。何しろ一番若いのが山寺宏一なので、オールドファン必見といえよう。
某TV局のスターウォーズの蛮行(へたくそな有名タレントを主役に起用して作品そのものをぶち壊した)以来、TV映画を見るのを止めてしまった人間としては、まさに彼らの時代が黄金期だった。(後に主役だけ取り直した版が放送されたらしい−当然である)
女性も、小原乃梨子・池田昌子・鈴木弘子などの超有名どころが名前を連ねていて、これだけ揃うのはもう二度と無いかもしれないと思って、思わず買ってしまった。
映画と銘打っているだけに、アニメは殆ど除外されている点も面白い。
ようするに、こういう方々の名前を見て、それだけで嬉しくなるような人向けの超マニアックな本というワケである。
マニアにはオススメの1冊。絶版になる前にぜひ!