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守り人シリーズでブレイクした大学上橋さんの文化人類学者としての著作である。
サブタイトルの通り、小さな町に暮らす先住民としてのアボリジニについて書かれていた。
学生時代に好きだったファンタジーで、ウィラン・サーガというアボリジニが主人公になっている物語があるのだが、それを想像していたら、まったく違っていた。そういう古のアボリジニではなく、現代社会の一員として生きている、近所のアボリジニを観察した本なのである。『精霊の木』はこういう考察の上に作られたんだな、ということがよく判った。
『ゲド戦記』のル=グインも彼女の父が文化人類学者だったことから、幼少時にネイティブ・インディアン達と一緒に暮らした経験があるのだが、そんなことを思い出しつつ、本書を読み終えた。なかなか考えさせられる一冊であった。
ちなみに、本書は現在絶版なのだが、密林の古書値段は1万〜3万!
ということで、今回は図書館のお世話に。図書館バンザイ。