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守り人シリーズの短編集である。
10代前半のバルサとタンダが中心となる短編集で、浮き籾/ラフラ<賭事師>/流れ行く者/寒のふるまい、の4作品で、時系列順に並んでいる。
浮き籾はタンダが主人公だった。自分以外の生き物を思いやるところがいかにもタンダらしいエピソードである。
ラフラはユリイカ掲載時に読んだが、さらに加筆したとのこと。
浮き籾の以後のエピソードとなっている。当時読んだときと微妙に印象が変わった気がするのだが、浮き籾で子供時代のバルサに慣れてから入ったせいもあるかもしれない。ユリイカが今手元に無いので比較できなくて残念なり。
流れ行く者は更にラフラ後の話で、バルサが初めて他人とサシで戦った際の伊心の動きやなにやらが切ない。
世の中のやりきれなさや割り切れなさを徐々に知っていく、子供時代の2人の姿がていねいに描かれていた。
上橋さんは今だから書けたと仰っているらしいが、なるほど、そうかもしれない。
相変わらず胸にじんとしみいる良いお話だったかと。