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野球の国のアリス (MYSTERY LAND)講談社ミステリーランドの1冊。ということで、北村さんが小中学生向きに書いたファンタジー小説である。
主人公のアリスは野球が大好きな少女で、リトルリーグ・チームのエースだった。野球の能力も熱意も周囲に負けない自信はあったが、女の子であるが故に、小学校を卒業したら野球とはお別れしれければならない運命だった。そんな中学校入学を前にした春休みに、アリスは、以前チームの取材をしに来た新聞記者さん−宇佐木さんを見かける。なんとはなしに聞こえて来た彼の「大変だ、大変だ、遅れちまう!」というセリフについついつられて、時計屋さんまで来てしまい、店の鏡の前に来たところ・・・。
ということで、後は読んでからのお楽しみ、である。
本筋には直接関係ないとはいうものの、北村さんは冒頭の「はじめに」で「皮肉って、わかりますか?」と読者に問いかけている。
子供向けのファンタジー小説の前、それも冒頭に書くには、やや如何なものか…という内容なのだが、それでも、今の時代の状況を憂えて、どうしても書いておきたいと思ったのだろう、おそらく。この冒頭を読んだ後で、本編を読んだ子供達−皮肉が理解出来ないタイプの子供達−がどう思ったのか、ぜひとも聞いてみたい気がするが、もっとも、そんな子供はそもそもこういう話を読まないという気もしなくもない。