4
納棺夫日記 (文春文庫)知人のお勧め本だったので、読んでみた。
「納棺夫」という仕事は、故人の体を清め、死に化粧を施し、遺体を棺に納めるというものだそうである。前半は富山の冠婚葬祭会社に勤務する著者がまだ仕事に慣れていない頃の当時の心境や、様々な葬儀を経験した後の心境の変化などが淡々と書かれていて、非常に興味深かった。後半は、仕事を通じて生と死を見つめた著者が、仏教を学んで行く過程でたどり着いた様々な考察と、やや難解な宗教の話題が多いのだが、とても面白かった。巻末には著者自らが書いた注釈用語集もついていた。
 また作中、宮沢賢治作品の引用が随所にあるのも興味深い。案外、知っている作品が多かったなぁなどと思ったりもした。
 現在公開されている映画「おくりびと」に、本書の内容がいくつか出てきているということらしい。主演の本木雅弘が、以前この作品を読んで感銘を受けたということで、確かに映画の題材になっているらしいのだが、諸般の事情により映画には何もクレジットされていないとのこと。どんな事情があるのかは知らないが、大人の事情って奴はまことに不可解なものである。