5
天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語新潮というか、日本ファンタジーノベル大賞受賞作ということでチェック。
明治大正時代から昭和のはじめにかけての、いち建築家とその顧客を巡る物語である。静かで押さえ気味の文章は、作品の雰囲気にもよくあっていて、見事なまでに「大人のためのファンタジー」であったように思う。
どちらかというと、ファンタジー小説というよりは、幻想小説と呼びたい感じで、読むにつれ摩訶不思議な世界に深く深く引き込まれ、ふと我に返って浮上してみると読み終わってしまっていた、というような、そんな感じであった。
これがデビュー作ということらしいが、どうやら作者は同世代の方らしい。次作にも期待したい。
かなりお勧め!