ものぐさ日記

読書・映画・旅行・食物・習い事などに関するあれこれを、ものぐさに更新  

books-2010

 すんごい久々の読書日記です。ぼちぼち読んではいるものの。。。という感じですね。

小さいおうち 本年度、直木賞受賞作品です。お友達からお借りしていたので数日前から既に手元にあったのですが、直木賞の報を聞いてから読み始めました。
 本書宣伝による内容紹介は主にこんな感じでした。
 −赤い三角屋根の家で若く美しい奥様と過ごした女中奉公の日々。引退した老後に書き記した覚書に隠された、ひそやかな恋物語。戦後60年以上の時を超えて、語られることのなかった当時の想いが蘇えり、懐かしくもほろ苦い記憶となって現れる。

 本書には、昭和初期の時代における東京山の手の中流家庭の生活風景が、とても生き生きと描かれています。本書の語り手である元女中のタキさんは、十代の頃から十数年、そのお宅に奉公していました。玩具メーカーに勤める落ち着いた旦那様と若くて美しい奥様、それに可愛い坊ちゃんがひとりという小家族ですが、自分好みのモダンな家を建て、女中が置ける余裕がある程度の、通常よりやや恵まれた生活水準の家庭だったようです。
 昭和モダンな作りで和洋折衷なお宅にはステンドグラスと洋間の応接室があり、休みの日にはお祭り見物に銀ブラ、三越でのお買い物に洋食屋でのお食事、美術や映画、クラシック音楽の鑑賞、坊ちゃんにはアイスクリーム、家庭でもパンにシチューに午後の紅茶などなど、様々な当時の文化が登場します。
 戦争の前にはアメリカ映画『オーケストラの少女』が日本でヒットしていたことや、その映画の素晴しい音楽のことが食卓の話題になるなど、当時の知識人階級(インテリゲンチャ)の暮らしぶりが垣間見られます。映画を観ていないタキさんは、映画に出ていた指揮者のことをストコフサレコフだったかストイコビッチだったか、と曖昧に言っていましたが、現代に生きている我々がネットで検索してみれば、当時の指揮者が『ファンタジア』のストコフスキーのことだったと判ります。便利な世の中になったものです。続きを読む

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まほろ駅前番外地 読んだのは先々週くらいでしょうか。書きもれてました。
 登場人物達の深堀りさ加減が良い感じですねぇ。特に星さんw。今後がますます楽しみになってきました。
 戦時中、都心から離れた当時の我が家周辺(まほろ市の隣市)には何もなかったと聞いていたので、当時のお隣であるまほろ市のことは今回はじめて聞きました。当たり前といえば当たり前なんですが、色々なことがあったんでしょうねぇ。闇市の噂は聞いたことがありましたし、ぶっちゃけ、駅前の一部は今も昔もやや危険な場所といえるかと思います。今のまほろ市は新宿より犯罪発生率が高いので有名です。まじで。
 昔、まほろの象徴だったドヤ街のようなアーケードも、今ではほぼなくなってしまいました。でも、珈琲の殿堂○リンスが思っていた以上に古くからあったっぽいのには、今更ですがちょっとびっくりでした。あそこって、学生時代に一度ランチを食べに入ったきりなんですが、誰か遊びに来てくれたら、ぜひ一度覗きに行きたいなーと思っています。
 ぜひ見てみたい!という方がいましたら、案内しますので、ご一報をば!w

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シャーロック・ホームズ最後の解決 (新潮文庫) シャーロッキアンのはしくれとして、噂の作品を読んでみました。
ホームズ物のパスティーシュは山ほどあれど、玉石混交で石多し、というのが常なんですが、これは上玉の部類に入るんではないかと、また正典好きの人でもけっこう満足出来るお話だったのではないかと、そう思います。
独立した作品としての完成度も高いのですが、ホームズファンならではのヲタネタがこれでもかという位、随所に散りばめられており、シェイボンは本当にホームズが好きなんだなぁと思いました。続きを読む

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私たちの選択 Al Gore OUR CHOICE 温暖化を解決するための18章 前回の問題提示編から3年、今回は解決策の提示編でした。
 大昔の宗教家や賢人が残した警告や戒めの数々が印象的で、誠の言葉には、人種も国境も時代もないなーと、改めて思いました。
 あと、カート・ヴォネガットの言葉が耳に痛かったですね。
今回の写真も色々ありましたが、相変わらずインパクトのある編集ですね。
 引用や取材は世界中に及んでおり、文章も方も読みでのある1冊でした。
少し時間を置いてからまた再読したいと思います。


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新潮 2010年 03月号 [雑誌] 小説家52人日記リレーですが、やはり噂通り面白かったですね。
大勢で通しということで、期待通りだったり、ハズレだったり、意外と面白かったりと、みな様々。どなたも個性的で、短い文章の中に普段の作品と違う世界が垣間見えたりもして、本当に面白い企画でした。
 特に島田さん筒井さんいしいさんが面白く、加賀さんにはほろりでした。
 あと、家庭持ちの女性陣はどなたもみなさん大変そうで、兼業ってやっぱり大変なことなんだなぁとしみじみ。がんばれーという感じでした。
 このまま雑誌の企画だけで終わってしまうのは惜しい気がします。


4
しいちゃん日記 (角川文庫) タイトルはしいちゃんですが、実際にはビーちゃんというお隣の先輩猫に続けーということで、しいちゃんになったとか。白黒ブチ猫のしいは一人っ子女王様気質のメスなので、オスしか飼ったことがない私にとってはかなり新鮮でした。
 ビーちゃんはオスの老シャム猫で、こちらもなかなか強烈な性格(というか行動)で、よく見聞きする猫話とは違い、ある意味とってもバラエティに富んだ猫話が堪能できたように思います。
 お話の割合はしいちゃん半分、ビーちゃん半分だったので、びーしー日記にしてもおかしくなかったような。20年生きる猫って、やっぱり凄いことだと思います。しっぽが裂けるかどうかはさておき、猫にも大往生があるんだなーと思いました。
 女王様のしいちゃんが今でも元気だといいなぁと思います。

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おいしい理由 これはなかなかナイスでした。
 食に真摯に向き合っている人達を取材した本です。写真に写っている人達の顔つきもとても良いです。(心は顔に表れるといいますし)
 奇跡のリンゴの木村さんの帯に引かれて本屋で見つけてから、図書館にリクエストしたんですが、自分の分を買うことに決めました。これから紹介された場所に行ったり、その食品をお試してみたいと思っています。お勧めです!

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かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書) まっきーの最新作は新書書き下ろしでした。
 一気読みしてしまいました。面白かったーーー!
 以降は、万城目さんへのファンレターです。ネタバレはない方向で。 
 万城目さん、とってもステキなお話をありがとうございました。
 夫婦の情景にしみじみしました。マドレーヌ夫人は我が家と同じ茶トラ(我が家では赤トラではなくあくまでも茶トラといいます)猫で、玄三郎さんも我が家と同じ柴犬だったので、なおのこと入れ込んだかもしれません。何年も前に亡くなってしまった我が家の愛犬愛猫達を懐かしく思い返しながら、じっくりゆっくりと読みました。
 もちろん、ほげほげが好きなかのこちゃんも素敵でした。一瞬、お父さんはあの鹿男先生かとも思いましたが、こちらは文系っぽいし、奥様は「野性的魚顔」ではなさそうだしとか色々ぐるぐる考えながら読みました。かのこちゃんの今後の成長も楽しみです。
 でも1点だけ、これだけはちょっと言わせてください。
 猫が品良く優美に前足を揃えて伸びをする、という場合の形容に「オーブントースターの網にひっついた餅をひっぱった眺めにも似て」とありましたが、思わず目が点になりました。いま、万城目家のそのトースターを直に見てみたい気持ちでいっぱいです。
あらあらかしこ。

天は赤い河のほとり外伝眉 (ルルル文庫) 当然ですが篠原さんのイラスト付きです。
 表紙のイラストだけ見ているとかなり幼く見えますが、カイルが14歳の頃のお話でした。
 最初がザナンザで、次がカッシュと来て、今回の主役はミッタンナムワでしたが、ちょっとびっくりな展開でした。。。実際の内容は、まあ読んでからのお楽しみということで。
 篠原さんが用意していた外伝はあと残り1作だそうです。次回の主役が誰になるのか、気になるところではありますね。

トラブル・クッキング (集英社文庫) 大好きな群さんのエッセイなので、通常なら抱腹絶倒するところ。。。と思いながら読んだのですが、NGでした。
 群さんの文章が上手すぎます。もう料理が不味そうなこと不味そうなこと。。。
 ご本人は真面目にやっているだけに、非常にイタイものがありました。食欲を減退させたい人にはお勧めの一冊かもしれません。
 あと笑いを取るためなのか、本気でそう思い込んでいるのか、その辺の匙加減は判りませんが、炒めていない肉じゃがの肉や玉葱が、火をつけてから10分で溶けてしまうなんてことは絶対ありません。そういう有り得ない系の突っ込みどころも満載だったので、読んでいて非常に疲れました。料理好きさんや美味しいものの文章を読むことが好きな人にはあまりお勧めできない本ではないかと、個人的には思います。

[新訳]論語 ちゃんと読んだことなんてなかったなーと思い購入しました。
これも論語から来ていたんだー!
という驚きネタとか、
これは本当はこういう意味だったんだー!
という目から鱗のネタなど、色々と楽しめました。
お弟子さん達の話が色々載っていたのも良かったですね。
百言百話ということで、全てが短い章立てだったので、切れ切れに読み進めることが出来ました。なかなかな1冊かと。

5
キケン 表紙だけ見ると新潮社の単行本とは思えませんね(苦笑)
 内容もある意味突き抜けていたかと思いますが、漫画で育ったようなやんちゃな元理系男子の皆様には受けるかもしれません。やんちゃな理系男子っていいなぁ、と、思うようなお話です。オムニバス形式なのもよろしいかと。
 最後の最後まで「彼」が誰かは伏せられていますが、それを予想しながら読むのも一興かもです。

声に出して笑える日本語 (光文社知恵の森文庫) 悲惨な事件を伝えた女性キャスターがまとめのコメントで、「ご遺族は今、悲しみの<ズンドコ>に沈んでいます......」というような感じで、前半は「悲しみのズンドコ」に代表される「ちょっと笑える実例集」が並びましたが、後半は落語界絡みの言葉ネタ話が多かったように思います。
 「恐れいりや(入谷)の鬼子母神」は結構有名な言葉だと思いますが、それと対になる「情けありま(有馬)の水天宮」という言葉があるんだそうで、そちらは全然知りませんでした。へーほー。
 言葉の由来はこの本を読むか自力でググって調べて頂くとして、江戸の人は情けや恩を受けた際に感謝してこの言葉を言ったんだそうです。
 オヤジギャグは嫌いですが、こういう言葉遊びは大好きです。自己満足と淘汰されて続いてきた言葉文化の差と言えば良いでしょうか。
 こういう文化が、将来も残っていくことを祈っていますが、どうにもこうにも望み薄でしょうか。。。

哄う合戦屋 武田信玄や上杉謙信が登場してくるあたりの群雄割拠時代の戦国物ですね。
(編集者が)「のぼうの城」狙いとか言っている人が結構いましたが、中身は違いますし、これはこれでそこそこ面白かったと思うので、何もワザワザのぼうの城を引き合いに出さなくても良かったんじゃないかしらんと思いました。
 主人公の石堂一徹は作者の創作だろうと思いますが、こういう人がいたら面白いんじゃないかなーと思います。ちょっと銀英伝のヤンのようだなーとも思いつつ(腕っ節は除く)。
 お姫様はファンタジーということで、こういう創作は十分有りだろうと思います。通常の戦国物とはだいぶ違っていて、ある種新鮮でした。嫌味もなく、ステキなお姫様でしたし。
 ラストは判っていても、読後感はさっぱりとしていました。
 最近、歴女の登場やゲーム、ドラマなど、戦国武将ブームと言われていますが、こういう中堅どころの人々の人生もそれなりに面白いよなぁと改めて思いました。

葛野盛衰記 森谷さんの新作です。図書館待ちしていたので、順番が回ってくるのに少々時間がかかりましたが、待ったかいはあったようでした。
 なんとも切ない物語といえば良いでしょうか。飛鳥から平安末期にかけての都の闇とその中でうごめく人々とか、そういったあたりのネタが大好きなので、かなり楽しめました。
 鎌倉に入った後の話も読みたかったので、続きがあるといいなぁと思います。

5
69bf8a02.jpg 新刊がなくて古本を購入。っていうか既に絶版らしく復刊ドットコムでリクエストされているようです。1/10の値段で買ったので、ぶっちゃけ送料のが高かったのですが、買えてラッキーだったようでした。
 写真は全てペンギン写真でお馴染みのフランス・ランティングでしたし、内容は定価並みにしっかりした濃いものでした。過去の不幸な歴史を淡々と語るあたりは、他の真面目なペンギン本と同様でしたが、古い文献や故人の文章を引用したりというあたりは、当時の生々しい感覚を非常に端的に示してくれていたように思いました。引用した文章のどれもがややどぎつく見えてしまうのは、綺麗なところを見たがる日本人の性なのかもしれません。日本人の書くペンギン本にはこういうアプローチはあまりなかったように思いますし(著者が書きたくても編集者に止められると思いますし)、他にも日本人なら避けそうな、現実の写真(血だらけとか腐乱死体とか・・・日本ならおそらく白黒にしそうな気がします)をカラーで掲載したりとかもちらほらあったりしつつ、既に過去になってしまっていますし、少しだけですが、現実のペンギン達の姿を少々垣間見ることが出来たように思います。続きを読む

5
雲のなかの未来―進化するクラウド・サービス いつもながら、武井さんの本は判りやすかったですね。引用や比喩の上手さとか、状況説明の上手さとか、本文の内容以上に学べるところが多々あるよなぁと、今回もしみじみ思いました。
 家人に「クラウドって何?」と、しばらく前からせっつかれてウンザリしていたんですが、専門用語をいちいち解説しないと進まないので、正直「この本読めよー」と渡したい1冊でした。この姿勢を見習いたいなぁと、そう思います。。。

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クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった 去年は色々クラウド(notクラウド・ストライフw)の本を読み漁りましたが、最初の1冊目はこれでした。まずは身近なところからというか、社食ブースに置いてあったこともあったり。
 雑誌などで出ていた用語がとりあえず収まるべき位置に収まったなぁという感じでしたね。導入の1冊目としてはなかなか良かったんじゃないかと思います。とはいえ、既にここに書かれている状況からもう既に変わりつつあったりするので、本当にこの世界は日進月歩だよなぁと思うのでした。

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野球は人生そのものだ 買ったのは去年ですが、純粋に記録しておきたいなーということで、こちらに(笑)。
 日経で連載されていたものに加筆訂正したものとのこと。
現役時代から監督時代までを含めて、今まで長嶋の周囲の人々が山のように語ってきたエピソードを本人の視点から直にさらっと語っているところがミソですね。
ベース踏み忘れ事件、敬遠に素手で立ち向かった事件、一茂置き忘れ事件、ソックス二重履き事件。。。数え上げたらキリがないのは、ファンの皆様ならご存知の通りです。
がしかし、今まで自分自身のことについては常に口を閉じていたご本人が、ついに自ら語った、ということが、とても大事で貴重なことだったんではないかと、そう思いました。今まで触れられなかったご家族−亡くなられた奥様のことなども、少々出てきていました。
長嶋ファンなら買うべき本かと。

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